避難所としての病院船

体育館に避難するのが当たり前と思っていませんか?
-避難所は難民キャンプ以下、専有面積、1人2平方m-

 東日本大震災の被災地宮城県石巻市にある石巻赤十字病院が、
2011年の3月11日後の4月に同市内の避難所を調査し、避難者1人当たり専有 面積が2平方メートル程度と、
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が定める難民キャンプの設置基準(3.5平方メートル)を下回っているとして、
市に改善を申し入れたことが報告されています。

 当時は1万2千人ほどが市内の避難所で生活。当月13日時点の避難者は約8千人で、
同病院は「最近の調査では、最もひどかった避難所も1人当たり3.5平方メートルほどになった。
ただ、避難所には冷蔵庫もなく、今後は気温上昇による環境悪化に対応する必要がある」 としている。
災害時の避難所にも国際基準があり、日本の避難所はそれをはるかに下回るレベルで、
世界から呆れられている事を紹介しました。

 国際基準は『スフィア・スタンダード』と呼ばれるもので、例えば、
避難者1人あたりの水は1日15リットル、食料は1日2100キロカロリー、トイレは
20人に1カ所、と妥当な数値で示されています。食料にしても、そのうち10~12%はタンパク質にすること、
トイレの75%は女性用にすることも決められているのです。

 最近特に東南海、東海、南海トラフなど三連動が発生した場合の津波の規模が30Mを超えることや、
東京直下型地震の想定などが過去の報道に見られなかったほど多く露出しています。
そこで気になるのは、避難所の考え方が従来から何も変わっていないことです。どうして体育館なのでしょうか?

・行動衛生対策と被災者へのケアとは?

一般的には、ほとんどすべての教訓は、以下の三つに分類されます。

  • ①確固とした、指揮・統制・通信システム
  • ②地域の医療施設以上の大量動員能力
  • ③損害(避難、除染、隔離)の影響を受けない迅速かつ大容量(大規模)の輸送システム

病院船のこと、ご存知ですか?

 東日本の被災地は元々、医療過疎の地域と云われてきました。そこの医療施設が津波で破壊されました。福島では、原発事故で病院丸ごと避難しなければならない地域がありました。もし東京直下型大地震が発生した場合、大都市東京の医療能力が満たされているでしょうか?

 避難は、安全な地域に大量に、かつ大規模に輸送できる機動性(モバイル性)が求められます。その不足分を補う病院船は、さらなる医療能力と機動性を発揮するのは明白です。そのことよりも、もっと重要なのは、日本にとって、それ以上の意味と価値を持つことです。病院船は、自己充足、自己完結できる船舶ならでは特徴を備えています。

 避難所の劣悪な環境を想像すればお分かりになると思います。
病院船は、冷暖房完備、衛生的なトイレで水洗の水を心配することも、入浴の心配も要りません。避難所として収容した被災民に温かい給食を出す大型厨房設備も備えています。もちろん治療、隔離、避難をスムースに支援する民間の医療従事者が乗船する救援専用船です。

 病院船は、即時あるいは長期的に災害救援活動に貢献したいボランティア達にとっても活躍の舞台を大きく広げることが期待されます。

 日本の病院船は平時にも活躍が期待されています。離島が多い日本で、高度医療施設が不足している遠隔地で医療を施すことや、有事に対応するためには日々の訓練船として活用するなど、船を遊ばせる暇はありません。特に、医師や医療従事者、地方自治体の災害行政担当者が、有事に組織戦が闘える機能的な訓練が重要になっています。同時に救援に駆けつけてくれる海外からの災害救援の応援者らとのコミュニケーションは、平時から養っていなければ「いざ、有事」には機能しません。非緊急時の利用活用は、社会インフラの一部となる(予防接種、眼科及び歯科検診、乳がん等婦人病、小児科や糖尿病等透析患者を含む慢性病)の治療等の提供も可能になります。


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