発表資料

災害時緊急輸送システムの技術開発に関する研究


 

概説

『災害時緊急輸送システム』は以下の三つのシステムで構成される。

 第一は「リアルタイム3次元測量システム」で、発災後に航路の健全性、岸壁や橋等の損壊状況をリアルタイムで把握し、それらの情報を次に述べる「リアルタイム情報に対応した水上輸送最適化システム」に迅速に送信することを目的としている。橋や岸壁等の水上および陸上情報は3次元イメージセンサ、水没車両や橋梁落下物などの水中障害物情報はマルチビームソナーにて測量を行う。これらの機器を小型船に搭載し、災害発生直後の緊急輸送ルート確保に必要な情報を提供する。
 第二は「リアルタイム情報に対応した水上輸送最適化システム」で、上記の測量データ情報に加え、船舶リスト、河川情報、橋桁仕様等で構成される「緊急時用データベース」を基に、被災地への最も高効率な配船計画を解析し、各輸送船に配船指令を出す。これらの計算はリアルタイム情報に対応しているため、岸壁の修復、水中障害物の撤去等の新たな情報が入り次第、ルートや配船数の変更が可能である。
 第三は「水上輸送船舶」で、災害事前対策として、低橋脚、浅水深等の河川輸送ボトルネック解消条件を備えた上、平時利用も考慮して試設計された。

災害時緊急輸送システムを構成する3 項目のうち、海上技術安全研究所が担当した項目は、「リアルタイム3次元測量システム」、「リアルタイム情報に対応した水上輸送最適化システム」であり、本稿では両者について報告する。

 3 次元測量システムでは、災害時用としてリアルタイム測量を可能とする水中測量システムを開発した。これによって迅速に測量結果を活用できるようになった。

 水上輸送最適化システムでは、基本となる輸送シミュレーターの開発を通して支援物資や被災者の概算輸送量、輸送の妨げとなる要因(ボトルネック)といった重要なータを出力し、防災計画に資するとともに、災害時にリアルタイムに配船指令等を出力できるシステムを開発した。これらのシステム開発によって、技術的基礎を確立し、災害時に河川・沿岸の水上輸送が有効であることを示した。

目次

目 次
1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
2.リアルタイム3 次元測量システム・・・・・・・・・2
2.1 航路内水中障害物の探査・・・・・・・・・・・・・・・2
2.1.1 マルチビーム測深システム・・・・・・・・・・3
2.1.2 グリーンレーザによる測深・・・・・・・・・10
2.2 橋等の倒壊物の探査・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
2.2.1 3 次元イメージングセンサ・・・・・・・・・10
2.2.2 測量例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
2.3 2 章のまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
3.水上輸送最適化システム・・・・・・・・・・・・・・・・・11
3.1 救援物資輸送シミュレーション・・・・・・・・・11
3.1.1 シミュレーション手法の概略・・・・・・・・11
3.1.2 救援物資輸送の解析例(関東地方) ・・・13
3.1.3 救援物資輸送の解析例(中部地方)・・・・16
3.2 被災者輸送シミュレーション・・・・・・・・・・・18
3.2.1 輸送量需要調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
3.2.2 被災者輸送の解析例・・・・・・・・・・・・・・・・23
3.3 物資と被災者の併存輸送解析・・・・・・・・・・・29
3.4 リアルタイム情報処理機能・・・・・・・・・・・・・31
3.5 3 章のまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
4.おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
研究発表等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

基本情報

ページ数35 ページ
情報更新日2012/11/14