米海軍病院船USNS Mercy日本・東京初寄港記念事業が終わりました。

当法人は「百聞は一見に如かず」に倣い、戦後72年の長き時を経て先の大戦を知らない多くの世代に病院船を観てもらい、動く病院が世の中にあるのか?という現実を広く知っていただくことが重要と判断し、下記のとおり、海洋国日本の災害医療の未来を考える議員連盟を通じ政府に働きかけ2年の準備をして参りました。日米政府の理解を得て2018年6月15日21:00に東京大井水産物埠頭に米海軍病院船USNS Mercyの接岸を果たしました。6月16日09:30から政府関係者と米海軍の歓迎式典、メディアツアー、午後からは広く国民に見ていただきたい公募400名に12.8倍の応募者がありました。午後から抽選で得らばれた方々の一般見学会。夜は米海軍主催のVIPレセプションが艦内で催されました。6月17日は朝08:00から16:00までⅠ班、Ⅱ班、Ⅲ班に分かれた専門家によるMercyの病院機能をつかったトレーニングが午前(多重外傷患者)と午後(NBC被災患者)の2回、ヘリから搬送された患者のオペレーションの流れ、そしてMercyの艦長および医療者、操船者他多くの米スタッフと病院船運営についてのミーティングが行われました。6月18日早朝にMercyは大井水産物埠頭を離れました。
そして最終のスケジュールは、米海軍のスピーカー(基調講演:CAPT Melanie Merrick(MD.DR),CAPT John R Rotruck(Commanding Officer),CAPT David Bretz(Mission Commander)3人と日本側スピーカー3人(Ⅰ班班長:山口芳裕・東京DMAT運営協議会会長からは、陸と同じ病院として理想的な機能を備えたMercyから学んだことを基に日本が持つべき機能は同様の仕様の標準化すべき方向を提案されました。Ⅱ班班長:小井戸雄一:厚生労働省DMAT事務局長から、有事について、DMATとして自衛隊艦船を使った経験を基に指揮・命令のし易さを利点に病院船というより応急措置に重点を置いた海上自衛隊艦船活用の方法論について説明がありました。
Ⅲ班班長:砂田向壱・公益社団法人モバイル・ホスピタル・インターナショナル理事長から平時の病院船活用についてと題し、災害大国であり海洋国日本の置かれている状況に鑑み、海からのアプローチの必然性に力点を置いた平時の考え方を整理する説明として、「有事、平時を分けて、平時の運用をどうするかでスタートするのではない。平時から常に有事意識の危機管理を住民にいつも訴えるような啓発・啓蒙教育の仕組が必要、常在有事の考え方でリスク管理の大前提が重要」を中心に加えて、17日の専門家会議で学んだ Standardization and Rule Making を結びとしてまとめました。この後に小此木内閣府防災担当大臣主催の閉会レセプションが催されすべての予定が終わりました。一番学んだことは、ハードもソフトも人的スキルについても、一気に目標とする、期待される状態に持っていけることは絶対にない。
とりわけ、人間系の部分はトレーニング、コミュニケーション、知恵の共有化、組織間の連携などを、実践を通じて獲得し、進化させていく以外に方法はないということです。そして環太平洋のリーダー海洋国日本は災害リスク世界一高く、大規模災害のリスクは今目の前に病院船は必然とされているということです。足らないのは”覚悟”だという指摘で幕は締められました。

《参考》 
平成28年10月25日

菅  義偉 内閣官房長官
稲田 朋美 防衛大臣
鶴保 庸介 内閣府沖縄及び北方対策担当大臣
岸田 文雄 外務大臣
石井 啓一 国土交通大臣
松本  純 内閣府防災担当大臣
海洋国日本の災害医療の未来を考える議員連盟
会長 額賀 福志郎

米国病院船USNSマーシー2018年の日本寄港の実現についての申し入れ

「海洋国日本の災害医療の未来を考える議員連盟」においては、第11回目となる米国主導のパシフィック・パートナーシップ16に議連代表と、民間の合同チームをベトナムダナン港でのHADR(人道支援/災害救援)の演習(今夏7月23日、24日)に調査視察団を派遣して研究してきた。災害救援のみに関わらず、多国間連携の指揮拠点の中心が米国病院船であることを知り、改めてその重要性や有用性が必需である認識を深めた。そこで米国病院船マーシーを2018年に日本への寄港を実現し、広く国民にその有為性を知らしめるプロジェクトを創生するとともに、引き続き我が国の安全保障・日米同盟の深化に寄与する積極的実現の策定を要望するものである。世界を震撼させた911同時テロ時、いち早くNY港に入港した病院船コンフォートはマーシーの同型姉妹船としても知られる。2020年の東京オリンピックは、マスギャザリング大災害が危惧される海からの救援アプローチは手つかずのまま。東日本大震災発災から5年の節目に、熊本県熊本地方の深さ約10km で最大M 7.3 の地震が発生し甚大な被害を生じさせた。南海トラフ巨大地震、首都直下地震(都心南部直下地震M7.3の被害想定)など、歴史記録からみた震源域の多様性から考察しても巨大地震は必ず来ると推定されている。そこで下記の要望の実現を図ること。

1. 病院船の機能、平時および有事における民・軍連携の法制度のあり方など、正しい理解の増進を図り、災害対処、緊急事態医療対処の不備を補うため、アジア太平洋地域の人道支援・災害救援の演習を主導する米海軍病院船USNSマーシーを2018年に日本への寄港を実現させ、災害医療の未来に寄与するプロジェクトを検討すること。
2. 上記プロジェクトを推進するため、防衛省、外務省、内閣府(防災)、国土交通省等の関係機関や民間実務者協議を開始するとともに、早期に米国と協議のうえ実現すること。                               以上、

日テレNEWS 世界最大!米海軍「病院船」驚きの設備とは
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(更新日: 2018/06/21)