令和6年 6月 4日
内閣総理大臣 岸田 文雄 殿
超党派・災害時医療等船舶利活用推進議員連盟
会長 加藤 勝信
災害時医療等船舶利活用推進法
施行にかかる緊急提言
私たち超党派の議員連盟は、「災害時医療等船舶利活用推進法」を 令和3年6月に成立させた。同法に
基づき、政府は、災害対応に船舶を活用して自衛隊・海上保安庁・消防・警察等の国の組織・都道府
県・市町村に加え、民間企業や市民ボランティア等の組織を一元的に活動させるため現行の司令塔機能
の強化を図る必要がある。このことは本年1月1日に発生した能登半島地震の対応でも明らかになった。
阪神淡路大震災、東日本大震災の経験から鑑みて、海からのアプローチの重要性を改めて、ご認識いた
だき、政府全体として下記の項目についてしっかり取り組んでいただくべく緊急提言するものである。
また、「米国における病院船の機能の進展及びその運用方法に関する調査研究」に関して、8月25日から
米国海軍省の協力を得て行う渡米調査の結果は、速やかに本議連に報告し我が国の国際貢献を含めた運
用・予算のあり方の議論に資することを求める。
記
1.災害時に船舶を利活用し対応し得る体制の整備にかかる予算を確保すること
大規模災害発生における初動対応に船舶の利活用が明確に位置付けられたことを踏まえ、それ
を行い得る体制を整備するための予算を確保すること。さらに、発災後の救助・救急活動、医療支
援とそれに関わるスタッフの参集・ロジスティックス支援、患者の広域搬送、安全地域への退避時
の避難所として活用等、船舶の特性を踏まえ、推進法施行日に合わせ早急に内閣府初動タイムライ
ンに位置付けること。更に、発災時に船上で活動を的確に行いうるように訓練を定期的に実施し、
同時に適宜課題を見直しアップデートを行っていくこと。
2.病院船保有に向けて幅広く知見を収集・分析すること
推進法施行に伴い、設置される推進本部において、災害時に船舶での医療を提供可能な船舶
の保有に向けて、病院として機能しうる諸元・機能及び所管を含む組織体制等に関する幅広い
知見を収集・分析し、実効ある施策を行うこと。
3.災害対応の専門家やボランティア育成の組織について検討すること
災害時に初動対応にあたる医療関係者のみならず、人口減少により人手不足が問題となって
いる消防団や建設業従事者等が適切な役割分担の上に災害救援力の強化に資する機能的活動が
できるよう、専門人材の育成を国の責務として検討すること。
以上
(追記)
上記提言に記載している事項の検討に際し、留意していただきたい点を以下に記す。
これらの観点は、本議連のもとに設置された災害時医療船舶利活用推進計画(仮称)検討PT
での議論に基づくものである。
1 災害時に船舶を利活用した医療等を実施できる港湾を全国で指定すること。指定港湾では
災害時の港湾運営の権限代行の中で、活動を行う船舶を円滑に接岸させること。
2 DMATなどの医療関係者等が被災地入りする際の一次参集ポイントを指定すること。そ
のうえでそのポイントから前項の港湾へのアクセスを確保すること。
3 被災地に派遣される船舶に積みこむ災害時の医療にかかる物資の手配等を予め定めておく
こと。また、必要に応じて前項のスタッフの乗船も検討すること。
4 離島・半島を含む地方自治体の防災計画に船舶の利活用を位置付けること。