病院船で新型肺炎封じ込めへ 超党派議連27日に発足
「配備の在り方を加速的に検討していく必要がある」。12日の衆院予算委員会で、新型肺炎に絡み病院船への見解を問われた加藤勝信厚生労働相は、こう明言した。河野太郎防衛相も14日の記者会見で、導入に向けた検討に意欲を見せた。患者を隔離して専門治療を集中的に施し、感染症を封じ込める機能が期待される病院船のニーズを、関係閣僚が相次いで認めた形だ。
病院船構想が生まれたのは、1995年の阪神大震災がきっかけ。米国などの実例を参考に、陸上交通が寸断されるような災害時に、海上から被災地に医療を提供するシステムを探る議論が起こった。2011年の東日本大震災後には一時、内閣府も「災害時多目的船」の導入を模索した。だが、建造や維持管理に巨額のコストがかかることや、法改正を伴うことから見送られた経緯がある。
その後、14年には自民、公明両党による「海洋国日本の災害医療の未来を考える議員連盟」(会長・額賀福志郎元財務相)が設立され、19年3月、病院船の活用を国に促す法案の骨子をまとめた。議員立法として早期成立を目指すため、今月27日には新たに野党を加えた7党による「災害医療船舶利活用推進議員連盟」を立ち上げる。
関係者によると、新議連は条文化の作業を進め、今国会に法案を提出したい考え。災害時医療などに船舶を組み込むことを国に義務付け、法施行の1年後をめどに必要な個別法の追加整備を求める内容という。自民中堅は「耳目が集まっている今、議論をしっかり積み上げたい」と話す。 (河合仁志)