病院船のこと、ご存知ですか?

 東日本の被災地は元々、医療過疎の地域と云われてきました。そこの医療施設が津波で破壊されました。福島では、原発事故で病院丸ごと避難しなければならない地域がありました。もし東京直下型大地震が発生した場合、大都市東京の医療能力が満たされているでしょうか?

避難は、安全な地域に大量に、かつ大規模に輸送できる機動性(モバイル性)が求められます。その不足分を補う病院船は、さらなる医療能力と機動性を発揮するのは明白です。そのことよりも、もっと重要なのは、日本にとって、それ以上の意味と価値を持つことです。病院船は、自己充足、自己完結できる船舶ならでは特徴を備えています。

避難所の劣悪な環境を想像すればお分かりになると思います。
病院船は、冷暖房完備、衛生的なトイレで水洗の水を心配することも、入浴の心配も要りません。避難所として収容した被災民に温かい給食を出す大型厨房設備も備えています。もちろん治療、隔離、避難をスムースに支援する民間の医療従事者が乗船する救援専用船です。

病院船は、即時あるいは長期的に災害救援活動に貢献したいボランティア達にとっても活躍の舞台を大きく広げることが期待されます。

日本の病院船は平時にも活躍が期待されています。離島が多い日本で、高度医療施設が不足している遠隔地で医療を施すことや、有事に対応するためには日々の訓練船として活用するなど、船を遊ばせる暇はありません。特に、医師や医療従事者、地方自治体の災害行政担当者が、有事に組織戦が闘える機能的な訓練が重要になっています。同時に救援に駆けつけてくれる海外からの災害救援の応援者らとのコミュニケーションは、平時から養っていなければ「いざ、有事」には機能しません。非緊急時の利用活用は、社会インフラの一部となる(予防接種、眼科及び歯科検診、乳がん等婦人病、小児科や糖尿病等透析患者を含む慢性病)の治療等の提供も可能になります。