救急艇社会実装協議会 第5回議事録

第5回議事録確定

日時:2021年1月25日(月)17時30分~19時00分
場所:Web会議

予定者(順不同、以下敬称略):
砂田 向壱 (MHI理事長)
有賀  徹(MHI理事、独立行政法人労働者健康安全機構理事長)
奥寺  敬(富山大学)
坂本 哲也(帝京大学)
三宅 康史(帝京大学)
田中 秀治(国士館大学)
加藤聡一郎(山口芳裕代理、杏林大学)
弘重 壽一(昭和大学江東豊洲病院)
横田 裕行(日本体育大学)
横堀 將司(日本医科大学)
前田  透(東京消防庁救急部副参事、救急対策担当)
塚田 信隆(東京消防庁救急部救急管理課計画係長)
横地 雄介(東京消防庁救急部救急管理課計画係主任)
MHI 小池・前多・横田・宮川

会議に先立ちMHI 砂田理事長、有賀理事より挨拶がなされた。
議題
1. 救急艇の社会実装までに
患者の搬送について
1)現場→搬送→救急艇乗船
東京消防前田副参事より東京消防庁の本事業へのかかわり方に関する説明がMHIとの協定書に基づいてなされた。その中で、患者発生現場から救急艇までの搬送などの東京消防とMHIの連携については、協定書の第1条に記載されている多数の傷病者が発生し救急車等の搬送車両が著しく不足する事態での場合であり、それ以外は東京消防庁としては直接関与しないこと、そうでない場合では例えばラストマイルの医療スタッフが民間救急を要請し、救急艇が停泊しているところまで傷病者を搬送する方法があるとした。ただし、多数傷病者が発生した事態においては軽症・中等症の傷病者を救助・誘導することは行うとのことであった。すなわち災害時で、消防力不足で民間の援助が必要な場合を想定しており、通常の消防力で対応が可能な場合は協力を要請する場合はなく、救急業務には該当しないと整理した旨を説明された。
奥寺委員からは、自身のアトランタオリンピック医療視察と長野オリンピックの医療支援の経験を踏まえ、選手だけで16,000人が来日するオリンピック自体が災害であること、マスギャザリングイベント自体を災害事案と考えて準備対応することが重要である旨が強調された。
有賀理事・砂田理事長より、医学的、時間的に船のほうがいいという、医学的な観点からの見方などについて検討をいただきたいとの意見があった。
横田委員より、サポートキャブ等の搬送手段の使用についても議論が必要であるとの意見があった。
次回までに、前田参事には再度東京消防庁と救急艇のかかわり方を考慮いただくこととなった。例えば、MHI所属の医師に救急車で搬送した傷病者を引き継げるかなどである。
坂本委員より、サポートキャブだと患者の乗船補助に支障があるのではという意見もあったが、砂田理事長より、4名のスタッフがいれば乗船には問題ないだろうとの意見があった。

2)下船→搬送→昭和大江東豊洲病院
砂田理事より昭和大豊洲の前のポンツーンについては、警察、海保もポンツーンを使用したいとのこと、現時点においてMHIのポンツーン使用については港湾局と江東区が議論をしているとの情報共有があった。
弘重委員より、ポンツーンから岸壁に患者があがれば、車いすなどでスロープをあがれるがその後200メートルの移動を要することと、ポンツーンから岸壁までは歩く必要があるかもしれないとの情報提供があった。

2. 医師の確保
弘重委員より準備状況の説明があり、昭和大学に非常勤の所属になるなどの方策について、副院長まで話は行っているが、法人までには話が進んでおらず、準備継続が必要との状況を説明いただいた。引き続き弘重委員、有賀委員で検討することが確認された。
坂本委員より、「帝京大、日本医大、杏林大などをコアとして考えている、直接オリンピックを担当していないような救急医にお願いする。身分の問題や保険、謝礼などについての枠組みも必要である
との意見があった。委嘱状などもだれの名前で出すか等についても決定する必要があるとの意見であった。医師がボランティアとなる場合、責任の所在はどうなるかについても考慮すべき点と考えられた。

3. 救急救命士の確保
田中委員より、救急救命士の声掛けを行う旨が報告された。
一番効果的なのは、救命士学校教員で救急救命士をされている方にお願いするのがスムースであり、全国救急救命士教育施設協議会(JESA)に声掛けをしていく考えであるとのことであった。
今後理事会で情報共有を行う予定であり、要件に関しては、医師と同じように、勤務時間、保険などが問題であるとの見解が示された。

砂田理事長より、「手当、保険については、人数が把握できたら船舶保険、傷害保険、団体保険を掛ける。船上にかかわっているところに関しては損害保険を準備する予定である。
手当に関しては、交通費を含めて、どのくらいの手当てを要するか、補足していく予定である
との意見が示された。
坂本委員より「損害賠償保険に関して。搬送する人への医療行為への保険も含まれるか
との質問があったが、砂田理事長よりそこも準備するとの旨が確認された。

4. 救急艇の装備
携行資機材について田中委員よりDMATに準ずる資機材を考えている旨を説明があった。感染症対応や海での活動を想定した服装などについても議論が必要という認識が確認された。前田理事より重症でない患者について、呼吸器などは必要あるか?との質問があったが、重症患者を想定していないことから、不要であろうとのこととなった。
田中委員よりウエアに加え、ヘルメットも準備すべく、リストアップの作業に入っているとの報告があった。デザインの他に感染症対策、暑さ対策など、加藤医師(山口委員代理)先生・田中委員にもアドバイスをいただくこととなった。
坂本委員より、想定される熱中症と感染症は判別しにくいため、PPEの装備準備も必要であるとの意見があった。
救急艇の装備の検討やリスト作成に関しては引き続き田中委員、加藤先生(山口委員代理)が担当することが確認された。

5.医師・救急救命士・船長・補佐の待機場所
弘重委員より、江東豊洲病院で待機場所を準備することが可能である旨が示された。

6.日本海洋医学会(名称の確認)の創設について奥寺委員より資料が提示され、学会の理念の確認がなされた。横田委員より、海洋にかかわる事故対応など、潜水作業における医療対応、海洋生物、中毒などへの対応も含まれる、非常に範囲の広いところとなろうとの意見があった。

201225 海洋医療学会に関する奥寺の考え

7.その他
田中委員より搬送時の記録などについても、すり合わせをする必要があろうという意見があった。

次回会議は2月22日 18時 WEBでの会議予定となった。

以上 文責 横堀將司、横田裕行、有賀徹

 


(更新日: 2021/01/26)